Spomenik News Letter 04---住み慣れた心身を歪めてくれる他者

 

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Spomenikの山下です。

 


「幸せって長続きしないよね。」

バーであまり関わりを持たないでおいた客の男性がボソッと話しかけてきた。

何かあったんですか?というと話が広がってしまうので、

「だから幸せって尊いですよね。」

で会話を強制終了させた今日この頃、皆さん如何お過ごしでしょうか。

因みにその男性は愛人とお別れしたらしく、

愛人って改めて考えるとすごい言葉だなってお酒と向き合った。




私は出かける時のスタイリングはパンツから選んでいる。

パンツのボリュームに合わせて、トップスを逆算したり、

その日の行動具合に合わせて選んでいる。

今日は作業系の労働なので汚したいのでいこうとか、

今日はおしゃな人に会うからちょっとクセ強めでいこうとか、

今日は素敵に見られたいのでキレイめのいこうとか。

そんな種類いります?の質問にはいりません〜の答えだけど、

パンツを作ってる人間なので、たくさん持ってますねん。

そしてパンツはその日の気持ちを作る軸になってると思っている。

 

 

 

昔、全然似合わないパンツを買ったことがあった。

硬いダック生地で普段買わないワイドなストレートだった。

生地がまだ身体を覚えていないからか、動きにも違和感があるし、

ハリがすごいからか借り物のようでもある。

しかし数週間が過ぎる頃、変化は静かに始まった。

膝の裏にうっすらと入るシワ、ハリがあった生地が体についてくる感じ、

ウエストが自然に収まってくる感覚、シルエットの合意性など。

半年が過ぎた頃にはそのパンツは私の中のレギュラーになり、

似合わないと思っていたはずなのに、

その一本があることで、選ぶトップスの幅も自然と広がっていた。


大人になると、自分の中でルールができて、

新しいものをわざわざ試すことも少なくなる。

それでも、そういう枠を越えた時の変化は思っているより大きい。

ファッションの拡張って体験すると結構感動する。

酢豚のパイナップルが突然美味いと感じくらいの衝撃だと思って欲しい。

もしくはレバーパテに蜂蜜のマリアージュでもいい。



自分の概念を超えたところで出会う新しい自分がどんなに素晴らしい体験か、

私はこの仕事をしているとそれを身近で目の当たりにしている。

気が合わない人も最初は難しいかもしれないけど、

一回受け入れてみると案外いいやつじゃんみたいな感じだ。

新しいものとの出会いというのは、

住み慣れた心身を歪めてくれる他者が案外大切だったりする。




春って全てを許してくれると思う季節、

そんな勘違いをしてしまう人が多いのでクラッシュには気をつけて欲しい。

皆様素敵な春を〜